睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まることで、睡眠の質が著しく低下し、日中の眠気や集中力の低下、起床時の頭痛などを引き起こす病気です。特に「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」は、肥満や顎の小ささ、扁桃肥大などが原因で、のどの気道が狭くなり空気の通り道がふさがれることで発症します。

代表的な症状は、いびき、途中で呼吸が止まる、何度も目が覚める、熟睡感がない、日中に強い眠気がある、などです。これらの症状があっても「加齢のせい」や「疲れのせい」として見過ごされがちですが、放置すると高血圧、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、糖尿病、認知症などのリスクが高まることがわかっています。

診断には、まず自宅で行う簡易検査が用いられ、必要に応じて医療機関でのポリソムノグラフィー(PSG)という精密検査を行います。検査では、1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数(AHI)を評価します。AHIが5以上で睡眠障害が疑われ、重症度に応じた治療が検討されます。

治療の基本はCPAP(シーパップ)療法です。これは就寝時に鼻に装着したマスクから空気を送り込み、気道を開いた状態に保つ方法で、高い治療効果が確認されています。軽症の場合は減量や睡眠姿勢の改善、マウスピース治療(口腔内装置)も有効です。

動脈硬化や心血管イベント、さらにはうつ病・認知機能の低下とも関係することが示されており、「睡眠の質」は全身の健康に直結する重要な要素と考えられています。特に高血圧や糖尿病がある方は、積極的にスクリーニングを受けることが必要です。

カテゴリ:呼吸器(/disease/respiratory/)

タイトルとURLをコピーしました