急性腸炎
急性腸炎は、腸の粘膜に急性の炎症が生じ、主に下痢・腹痛・嘔吐・発熱などの症状を引き起こします。原因の多くはウイルスや細菌などの感染で、特にノロウイルス、ロタウイルス、カンピロバクター、大腸菌などがよく知られています。とくに冬季はノロウイルス、夏季は細菌性腸炎が増加しやすい傾向があります。
感染経路は食品、水、接触などさまざまで、近年は外食や家庭内調理による交差汚染の報告も増えています。また、抗菌薬の使用によって腸内細菌叢が乱れる「抗菌薬関連腸炎」や、免疫抑制状態での重症化リスクも注目されており、年齢や基礎疾患に応じた対応が求められます。
治療の中心は、水分と電解質の補給、十分な休養、腸管を刺激しない食事への切り替えです。症状によっては食事や飲水の制限と点滴治療が必要な場合もあります。細菌性腸炎では、病原体によっては抗菌薬を使用する場合もありますが、原因不明の段階での安易な抗菌薬投与は慎むべきとされています。脱水症や症状の持続がある場合は、速やかな医療機関の受診が勧められます。
カテゴリ:消化管(/disease/gastrointestinal/)