肺炎
肺炎は、細菌、ウイルス、マイコプラズマ、真菌などの病原体が肺に感染して起こる炎症性疾患で、肺胞が浸潤によりガス交換機能を低下させるため、全身症状も強く出ることがあります。典型的な症状には、発熱、悪寒、咳、痰、息切れ、胸痛などがあり、高齢者ではこれらの症状が目立たず、食欲低下や意識障害、脱水のみで発見されることも少なくありません。
診断には身体診察、聴診所見に加えて、胸部X線やCTによる画像評価、白血球数やCRP、プロカルシトニンなどの血液検査、そして喀痰培養や迅速抗原検査が用いられます。重症例では酸素飽和度測定や血液ガス分析も重要です。
治療は、起因菌に応じた抗菌薬を速やかに選択し、必要に応じて輸液、解熱鎮痛薬、酸素投与を行います。重症度の判定には、CURB-65スコアや日本呼吸器学会のA-DROPスコアが用いられ、これにより入院や集中治療の必要性を判断します。特に高齢者や基礎疾患を持つ患者では、軽症に見えても重症化しやすく、慎重な対応が求められます。
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種は、重症肺炎や合併症の予防に有効であり、高齢者や慢性疾患を有する方に強く推奨されています。
カテゴリ:呼吸器(/disease/respiratory/)